総監督ノート

~学生自転車競技のコーチングメモ~

「総監督ノート」はじめました

自己紹介

高校時代から自転車競技を始めた僕は、大学を1995年に卒業して以降も、社会人1年目と、30歳を過ぎて大学院に行き転職をした頃の約3年間を除いては、常に何らかの形で母校の自転車競技チームとそのOB/OG会の運営に携わって来ました。

慶應義塾体育会自転車競技部(大学チームです)と、慶應義塾高等学校サイクリング部(競技をやっていますが部名はこういいます)が、その正式名称です。源流をたどれば、明治35年(1902年)3月に「慶應義塾自轉車倶樂部」として設立された、現存する日本最古の自転車競技チームです。

”最強ホビーレーサー”として現在も大活躍中の高岡OBがまだ慶大生だった当時、実業団から当部に移ってくるという際も、当時の古市監督や今は亡き櫻井先輩と一緒に、その受入体制整備やインカレ優勝に至るサポートを裏方として様々したものです。

その後、国内でサイクルスポーツがブームになり始め部員数が増加して来たことをきっかけに、2006年シーズンから本格的に高校コーチを、2012年シーズンからは両方掛け持ちという意味の”総”監督として、大学チームも併せて見るようになりました。

高校チームは、2007年に15年ぶりに全国高校総体(インターハイ)への復活を果たして以降ほぼ毎年出場しており、数年に一度は入賞者を出すこともあります。大学チームは、全日本大学対抗選手権(インカレ)や全日本学生選手権のチャンピオンや入賞者、日本代表チームへの選抜者を時々輩出できるくらいのところまで盛り返して来ました。

このブログを開設したわけ

2006年から数えて丸14シーズン、100名を超える高校生・大学生と過ごして来たことになります。この間、もちろん僕だけではなく何人もの関係者にご協力いただき支えられて来ました。

高校チームには長年(それこそ僕が高3の時から)顧問・部長として献身的に支えてくださっている飯塚先生がいらっしゃいます。また昨年からは若手の村上喜OBがコーチとして高校生を上手にリードしてくれつつあります。
また大学チームではこれまで、監督として川崎OB、高橋弘OBが多大な貢献をしてくれました。

しかしこの、卒業生がボランティアで現役を指導・サポートするという慶應義塾体育会の多くの部に依然継承されているシステムには限界が来ており、なかなか身を削ってまで事に当たってくれるOB/OGはいまや多くありません。そして2020年シーズンは、僕が大学監督も兼務する形となり、現役諸君からの本格的コーチングへのニーズとは裏腹に、指導体制維持が危機的状況に陥っています。

このままいくと、恐らく僕と一緒に、あるいは僕の後を引き継いで後輩の面倒を見てくれる若手(でなくとも構いませんが)のOB/OGが十分な人数現れるよりも前に、僕の体力や知力の衰退が早く来てしまうだろう。そうでなくとも、いつまた僕の仕事環境・生活環境が変化するかも分からない。それも仕方ないことだけれど、せめて、2020年時点のコーチングスタッフがどんなことを考え、どんな方針や手法で現役部員のサポートをしていたかを書き残しておこう。別にノウハウなどと言えるほど大したものではないけれど、またゼロから立ち上げなければいけないよりはマシかもしれない。

こうした思いが、この「総監督ノート」を始めることとした背景です。

こんな皆さんに読んでいただけたらと思います

想定(というより希望、でしょうか)している読者層は、主に次のような方々です。

①未来のコーチングスタッフとなるだろう、若手(に限りませんが)OB/OG

といっても、若手OB/OGに対して古い考えを押しつけるようなことや説教じみたマニュアル類とするつもりは毛頭ありません。あくまで備忘メモ的な、これまでに考えてきたことや、今後の練習・試合・ミーティング等で起こった出来事や気付きごとのノートです。むしろ、僕自身の頭の整理として一番役立つのかもしれません。

②近未来のOB/OGになる(に違いない)、現役部員諸君

現役諸君にとっては、監督の”手の内”が垣間見れてしまうのですから、こんなに良いことはないでしょう笑。僕としても、普段の短時間のミーティングでは伝えきれないことを、それとなく現役部員に伝え理解してもらう一助となれば良いと思っています。

③当部や部員諸君を取り巻く先生方・塾関係者・保護者の皆様、
 あるいは当部に関心を寄せてくださっている中学生・高校生・その保護者各位

上記のような方々には、当部を運営しているポリシーやフィロソフィーのようなものを、日々のノートの端々からもし感じ取っていただけるのであれば幸いです。

 

自転車競技界のほとんどのチームは、プロの指導体制やノウハウ、リクルーティングシステムを持っていらっしゃいますから、我々のようなごく基礎的な部分への対処や、社会人ボランティアという非常に制約された中での解決策のようなものはあまり必要ないでしょう。

それでも、ジュニアやU23世代の選手とのコミュニケーションの仕方や組織運営の難しさのようなことは、お互いに共感できる部分があるかもしれません。ぜひ日頃の現場で意見交換させていただければと思っています。

コーチングも日々勉強ですし、自転車競技スポーツ科学は日々変化・進化していますから、ネタ切れがいつになるかは分かりません。いずれにせよ、週1回程度のペースで少しずつ書き溜めていければと思っていますので、お付き合いいただければ幸いです。

(2020/1/1)