前週のトラック競技に続き、9月5日(土)~6日(日)に、群馬サイクルスポーツセンター(みなかみ町)でインカレロードレースが開催された。土曜に女子72km、日曜に男子150km(6kmサーキット×25周)という設定は、ここ数年同様の距離である。
前回のトラック総括に続いて、ロードレースの振り返り、及びインカレ全体の当校総括をしておきたい。

<目次>
インカレロードに向けた戦略
トラック競技3日間が終了したところで、各校の対抗得点状況は下表の通りであった。

当校は対抗得点8点・総合10位のポジションにつけた。この総合10位というのは昨年末に立てた今季目標の通りで、来年(創部125周年)に総合8位入賞を果たす上で当然クリアすべき通過点と位置付けていた。
このトラックでの総合成績にロードレースの成績を加えて、総合順位が決定する。当校の前後には、日体大や明星大、順天堂大など、ロードに強い選手を複数擁するチームがあり、ロードレースの結果によって総合順位の変動可能性はまだまだあった。
対抗得点の配分ルールは下表のようになっており、ロードレースでは1位に14点、2位に12点・・・が与えられることになっている。

例年、総合10位のチームは概ね合計15~20点を獲得しており、トラック終了時点で8点の当校は、ロードでさらに10点前後を追加する必要があった。上記の配分ルールに照らせば、ロードで表彰台に誰かが乗るか、10位までに複数名が入るか、という相応に高い戦績が求められる。それを理解した上で、前日の現役諸君によるミーティングでは、長谷川(嘉)・山﨑・𠮷村の3名を主軸に上位を狙っていくことを確認し、翌朝のスタートラインへ向かうこととなった。
レース展開
9月6日(日)午前9:00、定刻通りスタートの号砲が鳴らされた。スタートしてほどなく霧雨が降り始め、この時期としては体感温度もかなり低い中での戦いとなった。

レースは1周目から8名(日大2・中央2・鹿屋2・明治1・明星1)の逃げが形成され、1周目でもう1分40秒、4周目頃からは4分前後の大きなタイム差をメイン集団との間に付けた(タイムはいずれも筆者手元計時、以下同)。10周目に5分差まで広がったところで、ようやくメイン集団が本格的な追走モードに入り、11周目では3分20秒差と、わずか1周で1分40秒ほども短縮される局面もあった。
レースが後半に入って間もない14周目終盤、S/Fラインまで残り500mの地点で大規模な落車(報道によると8名ほどが絡んだ)が発生し、レースは一時中断となった。落車に巻き込まれた選手(当校1名を含む)や機材をケアし、完全にコースクリアになるまでの間、逃げていた選手もメイン集団も、S/F手前1km地点まで回って来たところで寒さに震えながら再スタートを待つこととなった。
30分以上の待機時間を挟み、中断前と同じ時間差を保ちながら再スタートとなったレースは、残り10周から(=落車発生後の1周がニュートラル措置で速度抑制されていたため、公式には1周減の24周扱い)となった。中断前の追走の動きがさらに本格化し、主に京産大・法政大の力強い牽引によって、逃げとメイン集団とのタイム差が縮まっていく。一方で逃げ集団はバラけ、残り6周からは日大・新宮選手の単独逃げとなる。後続集団を日大勢が抑える中で、他校強豪選手がそれに追い付けるかが焦点となった。
果たして、最終周回で最初に戻って来たのは、青いジャージの京産大・渡辺一気選手。日大・新宮選手のピンクのジャージを最終の登りで抜き去って、劇的な逆転勝利となった。渡辺選手は今年の全日本ロードU23で3位入賞、海外レースでも戦績のある実力派で、京産大チームが追走で見せた総合力とも相まって、流石の走りだった。悪天候や途中中断などもあった波乱のインカレロードは、出走者146名、うち完走者66名、完走率45%のレースとなった。
上記はごくダイジェストであるが、レース全体の推移については、例えば以下のようなサイトに詳しいので参照されたい:
当校結果とレース戦評
前述したようなレース展開の中で、7名が出場した当校はどのような走りだったか。
前半に出色の走りを見せたのは、吉川(3年)だった。理工学部・独り暮らし・虚弱体質(?)というハンデを背負いつつ、今春にクラス2(全国大会へのエントリー権が得られるクラス)へ上がった苦労人。100km超の本格ロードレースはこのインカレがほぼ初めてということだったが、メイン集団の前方15~20番手辺りの丁度良いポジションを維持し、時には追走集団に入る動きも見られるなど、想定を大きく超える印象的な走りだった。後半のメイン集団の追走強度にたまらずドロップしてしまったが、これまで培った粘り強さに加えハイパワー部分を強化していけば、さらなる戦績向上が期待出来よう。
その他のメンバーは、メイン集団の中盤~後方で周回を重ねた。主将でエースの長谷川(嘉)(4年)が、重要な動きのある局面で先頭まで出て来るシーンも見られた一方、中断・再スタートの前後でメイン集団の速度が上がっていく中、1名また1名と当校選手が千切られていった。
144kmの戦いの最後、先頭から30秒余り離れたメイン集団(8位集団、22名)によるゴールスプリントは順位混沌としていたが、長谷川(嘉)が最終的に20位に滑り込み、対抗得点1点を獲得。また59位(先頭+2分44秒)で𠮷村(2年)が完走を果たした。

昨年の当校は1名が完走(31位)したのみであり、20位までに与えられる対抗得点を3年ぶりに獲得出来たことも含め、戦績的には大きく向上したと言えよう。また出走したほぼ全員が後半~終盤まで残っていたことは、レース前半がスローペースだったことを差し引いても、ロードでの地力がチーム全体として向上していることを表していた。これらの点において、チームを牽引して来た幹部諸君、特にロード練習メニューをきめ細かく設計し実行してくれた山﨑(2年)には感謝したい。
一方で、今回のレース展開は、逃げとメイン集団に前半で最大5分もの差が出来、それを埋めるために後半の激しいペースアップ=高いパワーが求められ、当校選手が千切れていくこととなった。
そうなることは自明であり、僕はいつもこの群馬のコースで、概ね2分30秒以上開いた場合には「追え!」の指示を出している。この6kmサーキットでは、ラップタイムにもよるが概ね2km/hの平均速度差で1周当たり30秒を詰めることが出来る。それを5周継続してやっと逃げを吸収できるのが2分30秒というタイム差だ。
今回の逃げ集団のラップは概ね9分40秒~50秒(平均時速約37km/h)と決して速くはなかったのだから、逃げに自校選手を乗せられなかった当校を含む各チームは、もっと前半からメイン集団をペースアップさせ、逃げ集団を射程距離内に置きながらレースを進めるべきだった。
前日のミーティングで「この3名で狙っていく」としたならば、それ以外の選手の役割は何だったのか。まあそれを言っても、チームプレイが出来るほどまでは選手一人ひとりの力が備わっていないので、集団に食らい付いていきます、まずは完走を目指します、ということで一歩一歩成長してくれたらと思う。
これは当校に限らず学連チーム全体に言えることだが、中途半端な「戦略ごっこ」「ロードレースごっこ」などしないことだ。ツール・ド・フランスの見過ぎ、弱虫ペダルの読み過ぎである。
スタート前に各校選手達がお互い話しているのが聞こえて来たが、「ウチは後半勝負だから」というフレーズを何回か聞いた。レース前の情報戦もあるだろうからそれはそれとして、では前半のレースは誰が作るのか? 今回はトラック終了時点で日大の総合優勝が決まってしまっていたのだからなおのこと、総合争いを意識した牽制などない、各選手が積極的に前へ前へと攻めていく走りも出来たはずだ。
外形的には、レース後半をドラマティックに演出した京産大の走りでそれが埋め合わされることとなったが、一時中断がなく走行中の選手達だけの判断でレースが進行していたら、果たしてこの試合はどうなっていただろうか。
時速37km/hの逃げなど早々に吸収し、さらなるアタック合戦が繰り広げられるような試合をしてこそ、海外に出ていく力が付いていくし、観る者にも感動を与えスポンサーや資金が集まって来る世界に近付けるのではないだろうか。その観点では、今回1周目からエスケープを図った8名、中でも最後まで逃げを敢行した新宮選手は高く評価されることだろう。
少なくとも当校は、今後もっともっと個々の力をまずは付け、チームとしての総合力を発揮出来るようになった上で、他力本願ではない積極的・能動的なレースを出来るようにしたい。そうした競技姿勢こそが、「全社会の先導者」たる人財を育成することでもあると考えている。
総合結果と来季に向けて
ロードレースの結果までが反映された、2026年度インカレの総合順位は、下表の通りとなった。

事前の予測にあったように、明星大が5位と14位に入って計10点を獲得しジャンプアップ、当校は1つ抜かれての総合11位となった。今季最大目標の達成には至らなかったが、現時点の選手諸君の実力を100%あるいはそれ以上発揮してくれてのこの結果だと考えており、悔いはない。
試合後のミーティングで長谷川(嘉)主将が総括してくれた通り、今年はチームパーシュートとタンデムという、メンバーが力を合わせてこその種目で入賞出来たこと、またロードレースで得点を獲得出来たことは、チームとして大きな進歩であった。主将のみならず、南山・髙橋・斎藤ら当部を率いて来た4年生をはじめとする部員全員の努力の結晶と思う。
当校の総合対抗得点及び順位について、コロナ明け以降の推移をまとめたものが下図である。

今年の結果は2022年とほぼ同水準で、その翌年2023年に大きく戦果を伸ばしたことを、来季もまた再現したい。いや、その当時はそれでも届かなかった総合8位入賞を、創部125周年を迎える来季には是非とも実現しなければならない。
各種目における課題は今回インカレを通じてかなり明確になったと思うので、それに向けて現1年生から3年生まで、的確な練習計画の立案と、それを自己に厳しく完遂することが求められる。当部の部員規約には「自転車競技を愛し、勝利に対する努力を惜しまない者」という部員資格が定められていることを、このタイミングで再度全員で確認し心に刻みたい。
また現役諸君の不断の努力だけでなく、OB・OGの熱烈な支援・声援や、部員諸君を取り巻く保護者や関係者の皆様による支えも、引き続き何とぞよろしくお願いしたい。
来年に向けた強化は、もう始まっている。チームとしては束の間のオフ期間ではあるものの、9月末までの夏季休暇(羨ましい!)の間にまだいくつものトレーニングレースが予定されており、それを経て10月~11月には全日本学生TTや新人戦トラック、早慶戦・東京六大学戦といった秋季公式戦が目白押しである。今回インカレに出場した選手はより高い地点を目指し、出場出来なかった選手はその席を射止めるべく、これからの秋シーズンを是非実りあるものとして欲しい。
(2026/9/12)